2019/09/27 19:07

小さな小さな希望の中で、見える一縷の望みに似た、光。掴める気がして差し伸べた手を、引き戻せないまま何年も経った。もう辞めてしまおうか。そう思う度にまた、光。そんな時、決まって風が吹いていた。振り向いてみれば、思いの外の距離を辿った様だった。そう思い込めば、救われる様な気になった、全てに蓋をしてしまえば、尚の事。



いつだって風は吹いていた。向かい風、たまに追い風、また向かい風。尖る事で身を守り、杏だけを大切に抱えた。落とさない様、傷付けない様、杏だけを大切に抱えた。でもいつの間に、杏に抱え込まれていた、いや、包まれていた。守っていた杏に、守られていた。少しずつ大きくなる杏は、僕に仲間をくれた。不思議。そして初めて表を上げた。風の色が見えた、それは、青い風だった。


展示が終わりました。もう随分も前の様に感じる夏の始め。JR九州主催、グンジキナミと共同展示。主催が違う事はあっても、共同展示は始めてでした。1人の方が、圧倒的に楽だもん。失敗しても、責任は自分にある訳だし。でも、グンジキナミがいないと始まらなかった。それだけ、彼の存在は大きかった、本当に助けてくれた。心から、ありがとう。

8月4日、横山起朗が無人駅でピアノを奏でたあの瞬間。僕は、僕が見たかった風景を、頭の中で浮かべた風景を、現実の世界で体感した。あの瞬間に、準備に追われた日々が、報われた気がした。完成という言の葉の意味を知った。でもきっと、頭の中以上だったんだと、今思う。ありがとう、たつろー。あなたレベルのピアニストが、自分の展示で奏でてくれた事は、僕の誇りです。


展示前、息巻いた全ては文字通り風に乗って彼方へ消えた。駅舎の中、風の通り道。電車がホームに入る動きの鈍さ。明るさの中に確かにある寂しさ。夏は苦手だけど、夏の美しさを認めずにはいられなかった。慈しみの中の、温もりが確かにあったのだ。


何を思って何を作ったのかは控える事にする。じゃないとアフターパンフレット作った意味、無いし。でももし、少しでも興味を持って頂けたのなら、手に取って頂きたい。僕らの夏は、其の一冊に閉じ込めた。どうだ、ここにきてまるで宣伝の様な語り口だろ。これがきっと正しい使い方なんだろ、そうだろ、そうなんでしょ、BASE!


現実世界で店を始めた。"夜の花屋"だ。でも僕のベースはインターネット。"店のない花屋"を次、どう動かそうか。またやりたい事を見つけていくか。